崖っぷち日本のユートピア社会学by大山昇悟

崖っぷちに立っている日本をどうしたらユートピア(理想郷)にできるか日々考え答えを探していくブログです

アルバイト体験記〜コンサート会場撤去編

今回の体験記は、2014年の出来事であり、この時期、自分は経済的にも精神的にも非常にキツい状態でした。なので内容的に多少自分の愚痴っぽい部分も含まれているので、その辺はご容赦ください。

 

2013年の夏前に4年近く勤めていた会社を退職し(これはこれでまた色々あってのことでしたが)2015年に向けてある夢の実現に向けて準備をしていた時期です。

 

とにかく、時間が欲しかったのですが、フルで働いてしまうと夢を実現するには圧倒的に時間が足りないために、最低限の生活費だけ派遣でもして稼ごうと思っていたのです。

 

そして、近所の派遣会社(あまり有名でない)に登録したのでした。

 

派遣会社に登録したことのない人の為に簡単にそのシステムを紹介します。

 

まず、派遣会社に行き簡単に住所、氏名、年齢、学歴、職歴、所持している資格、電話番号、メールアドレスなど記入します。

 

そしてどんな仕事なら出来そうか、また長期、短期、1日のみの仕事など希望を記入します。

 

すると数日経つとメールに、「○○の仕事、○月○日、○時〜○時、時給○○円、○人募集」という案内が来て、その仕事をやりたければ返信して応募します。

 

募集人数に対して応募人数が多い場合は、派遣会社の方で、経験やら現場までのアクセスなど考慮して決めるようです。

 

自分の初めての派遣の仕事は、N市でのコンサート会場撤去でした。

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日給はうろ覚えですが、確か10000円〜12000円くらいだったような気がします。

 

時間は夜20:30〜朝7:00くらい。

 

募集人数は3〜4人で、当日は派遣会社の人が一人クルマを出してくれて、総勢4人でN市に向かいました。

 

ちなみにこのコンサートは、某有名なアニソン歌手でした。

 

20:30頃に会場に着き、ホールの中に入るとまだコンサートは続いているらしく、女性歌手の声が廊下まで響いていました。

 

自分達4人が大きな控え室に入ると、そこにはすでに100名近くの別会社の派遣さんが待機していました。

 

30分ほどその場で待機していると、責任者が現れて会場撤去の段取りや、注意点など説明し、4〜5人単位で1グループ作り、ステージスタッフの指示通りに作業するようにと一通り説明し終わると、いよいよ作業開始です。

 

ちなみに10時間くらいの長丁場の為、休憩が1時間半くらいで、夜食として弁当がつくとのことでした。

 

自分は派遣先の社員を中心にして4人のグループです。

 

ステージのある会場内に入ると、8000人くらい入りそうな大きなホールでした。

 

そして早くもステージ上ではコンサートスタッフらしき人達が機材の片付けの為に、忙しく立ち働いています。

 

ちなみに、この会場に向かう車中でのこと、派遣会社の社員さんが「大山さん、初めての現場でコンサート会場撤去の仕事かぁ…」と何か含みを持たせるような、気の毒そうな雰囲気で呟いたのです。

 

何か、大変な現場らしいことは伝わりましたが、自分的には体力にも自信があった為に、割と気楽にかまえていたのですが、「大変さの種類」がその時の自分はまだわかっていなかったのを、後で思い知らされることになります。

 

とにかく、会場内は全体的に殺気だっていました。おそらく朝までに設備、機材を全て綺麗に撤去しないといけないからでしょう。

 

そして、その中心にいるのが、お揃いの黒いTシャツを着ているコンサートスタッフ達です。派遣グループにバンバン指示を出して機材、設備の片付けをさせています。

 

作業が始まって5分くらいのことです。黒Tシャツスタッフの指示を受けて、自分達派遣の何人かがステージ前でやや大きめの鉄骨みたいなのを持ち上げていると、

 

いきなり、黒Tシャツスタッフがステージ上で何か怒鳴っています。

 

「オイ、そこの!そこのオマエ!それを下に置け!」

 

最初自分は、何を言われているかよくわからず、ポカンとしていたのですが、側にいた派遣会社の社員さんが「あっ、大山さん、それを下に置いて!」と教えてくれたので、やっと状況が飲み込めたのです。

 

どうやら時間がタイトな撤去作業では、指示も臨機応変に変わる為に、常に神経を張って変化する状況に対応する必要があるようでした。(今から考えるとなぜ始まってすぐ、ボーッとしてたのか…アホみたいです(*´Д`*))

 

とはいえ、作業が始まってすぐに、

オマエ呼ばわりされたことで、この現場での仕事がどういう仕事かなんとなく掴めたのです。

 

その後は、ステージの上に上がって、音楽機材を運ぶのを手伝ったり、建設現場にありそうな重い鉄骨を運んだりしました。

 

ホール内は、黒Tシャツスタッフと、派遣グループ、そしてもう一つのグループとして、大きな設備(音楽機材以外)を解体して運ぶグループが混在して作業していきました。

 

作業が進み、1〜2時間も経つと最初に組んだ4人の派遣グループもバラバラになり、それぞれ別々に行動せざるを得なくなっていました。

 

自分はというと、大人数の派遣グループに紛れて作業を手伝っていました。しかもあまり目立たないように…

 

なぜなら、とにかく、

黒Tシャツのスタッフが、上から目線で乱暴な命令口調で、派遣の人達に指示を出しているからです。

 

ちょっとでも作業手順を素早く把握できなかったり、その通りにしないと怒鳴りつけられそうな雰囲気がバンバンしてくるのです。

 

なので、出来るだけ目立たないように、「その他大勢グループ」に常に入っているようにしていました。まるでアフリカで飢えたライオンに目をつけられないように、仲間の群れに紛れようとするシマウマみたいです。

 

ちなみに同じ黒Tシャツスタッフでも女性スタッフはそんな雰囲気を出してはいませんでした。

 

作業中、とにかく黒Tシャツスタッフと少人数での作業になってしまうのを避けつつ、撤去作業を進めていったのです。

 

時間が経ち作業が進むにつれ、機材や設備がどんどん減っていき、それにつれて待機時間が増えていきます。

 

やっとトイレ休憩に行けたり、控え室で少し小休止できるようになったのは、たしか1時か2時くらいだったと思います。(この時点でチームは完全にバラバラ)

 

最初に説明を受けた控え室で、長めの休憩を取っていると、部屋の片隅に夜食用の弁当が積まれているのが目についたのです。

 

確か、この仕事の求人案内に弁当つきと記載されていたので、食べていいとは思うものの、また勝手なことをして怒鳴られるのもつまらないので、弁当には手をつけませんでした。

「きっと作業が終わるまでにはなんらかの指示があるだろう」とその時点では思ったのです。

 

そして、朝がどんどん近づき、作業量も減っていき体力的には楽になっていきました。また会場ホールの中に大きなトラックが入って、大きな機材設備を運び出すなどの滅多に見れない光景も…

 

そしてほとんどの作業が朝7:00前には終了し、最後に大きな控え室で派遣全員を集めたのです。

 

担当者が「え〜、怪我人が出ることもなく、大きなトラブルもなく作業が出来ました」と定型の挨拶をしている最中、自分は部屋の片隅に山積みされている、未開封の弁当に意識がいっていました。

 

「きっと帰り際に一人ずつ弁当を持って帰れる」と期待していました。当然、担当者がそう言ってくれるものだと信じていました。

 

「それでは、これで解散!」

担当者が、大きな声で宣言します。

 

そして、100人の派遣の人達がそれぞれ立ち上がって、帰り支度を始めます。

 

…「弁当は?」( ゚д゚)…?

 

なんとパッと見、50個以上は平積みされている未開封の弁当について、担当者スタッフは何も言及することなく終了させてしまったのです。

 

派遣会社の社員も、その他の派遣さんも誰一人弁当について話題にしません。

 

ここまで読んで、たった一個の弁当に執着しているお前が変だと思う人もいることでしょう。正直、自分も書いていて少し恥ずかしいです。

 

ですが、この記事の冒頭でも述べましたが、この時期自分は非常に金銭的に厳しい状況にあり、一食分の食費代も浮かせたかったのです…。

 

自分としては、終了の挨拶をした担当スタッフが最後に、派遣の人達に向かって「お弁当食べてない人は持ち帰ってください」と一言言って欲しかったのです。なぜその一言さえ言えないのでしょうか?5秒でできることです。

 

よく底辺な仕事をしている人ほどストレス度が高いと言われます。それに比べて社会的地位が高いと周りから尊重されるので、ストレスが低くなるとも言われます。

 

底辺仕事をしていると、なぜストレスが高くなるのか?それは周りから「尊重されない」からです。

 

では「尊重されない」とはどういうことなのか?尊重されないとは…

 

「ぞんざいに扱われる」ということです。

 

つまり黒Tシャツスタッフの上から目線+命令口調であり、最後に解散の挨拶だけして弁当については一言もなかった担当スタッフの気配りのなさです。(弁当にこだわるようですが、担当スタッフの3メートル脇に弁当が平積みにされているので目に入らない訳はないのです)

 

要するに彼らにとっては、派遣の集団など「ぞんざいに扱って構わない存在」なのでしょう。

 

まあ、100歩譲って、弁当が目に入らずに忘れていたとしとも余った弁当はきっとスタッフやら上の方で1人何個も持ち帰っただろうことは間違いないと思います。

 

ちなみに最後、このコンサートの歌手ですがアニソン界では有名で紅白にも出た方です。

 

そして威張っていた黒Tシャツスタッフには、その女性アーティストの名前がアルファベットでプリントされていました。

 

チームM○○○○○」

 

彼女の歌で元気が出ている人が大勢いるとは思いますが、その裏側ではこのような派遣の悲哀もあったりするのです。

 

自分の苦闘時代は2015年の10月まで続きます。

今後それらを出来るだけ記事にしていきたいと思います。

 

*今回の記事によりイベント等に携わっている方で、気分を害された方がいたら申し訳ないと思います。ですが、「経済的困窮の中での食べ物の恨みは海よりも深くなりうる」ということも知って頂けたら幸いです。

 

 

 

 

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