崖っぷち日本のユートピア社会学by大山昇悟

崖っぷちに立っている日本をどうしたらユートピア(理想郷)にできるか日々考え答えを探していくブログです

映画「ジャージー・ボーイズ」をお勧めします

「芸術の中に神の姿を見いだす〜映画編」

 

今回は1960年代のアメリカのロックバンドフォー・シーズンズの伝記映画ジャージー・ボーイズを紹介します。

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あらすじ(Amazonより)

「ブロードウェイの最高傑作を、巨匠クリント・イーストウッド監督が映画化!

名曲誕生に秘められた、友情、夢、栄光と挫折

-今明かされる感動の真実!

 

成功から一番遠い場所で、伝説は生まれたー。 彼らが生まれたのは、犯罪が日常茶飯事の、ニュージャージーで最も貧しい地区。

そこから抜け出すには、軍に入るか、ギャングになるか、スターになるか、しか方法がなかった。

金も、コネもない彼らにあったのは、神から与えられた歌声と、曲を作る才能、そして見事に息のあったハーモニー。

それだけを武器に、4人の若者はスターダムにのし上がった。

しかし強い光には濃い影が差す。待っていたのは、栄光の果ての挫折…。それでも彼らは歌い続けた。」

 

実在するアメリカの人気バンド「フォー・シーズンズ」の結成から成功するまで、またその過程で起きたバンド内の様々な人間模様を描いた伝記映画です。

 

この映画は一部でミュージカル映画という紹介がされているのもありますが、会話の最中、唐突に歌い出すみたいなシーンはないので、ミュージカル映画ではないと思います。

 

最近大ヒットしたクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」みたいな位置付けの映画だと思います。

 

フォー・シーズンズというとなにやらフォーシーズンズホテルを連想してしまいますが、

フォー・シーズンズというバンドを知らない人でも彼らの有名な曲を聴けば、「かすかにどこかで聴いたことのある曲」と気づくはずです。

 

↓下の動画はフォー・シーズンズのライブ映像


www.youtube.com

 

バンドは4人編成ですが、映画では、トミーという少しワルでヤンチャなリーダータイプの青年が、床屋の見習いをしていたフランキー・ヴァリを誘い、次に作曲ができるボブを仲間に引き入れて、元から仲間だったニックと合わせて4人で「フォー・シーズンズ」がスタートします。

 

フランキー・ヴァリはその歌声をマフィアのボスにも認められています。そして床屋の見習いをしつつシンガーを目指しているフランキーに「お前の歌声なら必ず成功する」と励ましてくれるくらいです。

 

フランキー・ヴァリの歌声についてWikipediaより

「非常に鋭く力強いファルセットを生かした唯一無二の魅力的な歌声でよく知られている。独特の声色を持つヴァリの声域はとても広く、その高音はポップ史上最も高い男性ファルセットだと言われている(2001年時点)。「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」においては第80位。」

 

映画を見始めた当初は、どんな凄い歌声かと思いましたが、実際フランキーが歌う場面になると、正直凄いハスキーで独特な歌声だと感じました。

 

主人公を演じる俳優がハスキーボイスなのかと当初思いましたが、YouTubeフランキー・ヴァリ本人が歌っているのを確認すると本当にハスキーボイスでした。

 

好みが分かれる歌声ですが、その後バンドが世界的にヒットしたので、その独特なハスキーボイスには大勢の人を魅了する魅力があったのでしょう。

 

あと、音楽業界では「結成しては解散」するバンドの数は数えきれないと思いますが、その内情みたいのはなかなか外には漏れることがないと思います。

 

解散の理由として大抵は「音楽性の違い」や、「発展的な解散」など耳障りの良い理由だったりしますけど…。中にはズバリ「お金が解散の理由だった」と、ぶっちゃけるバンドもたまにはいますが、あまり内情を暴露するバンドは少ないでしょう。

 

この映画では、グループ特有のそのあたりの内情も描いていて非常に興味深かったです。

まあ、そもそも個性が違う4人が長期間ずっと仲良くやれるのは難しいのかもしれません。

 

そして、フォー・シーズンズが成功するに連れて様々な問題が出てきます。

いくつか挙げると、

「ギャラの配分」「グループ内派閥」「家庭と仕事の両立等」

 

中でもリアルだったのが、4人のグループ内で最も影が薄く存在感が薄かったメンバーの不満です。例えが古いかもしれませんが、モーニング娘。保田圭みたいなあまり人気のないタイプです。

 

映画を観ている最中に、ニックというその影薄メンバーの描き方が淡々としていてあまり印象に残らない感じだったので、観ているこちらが少し心配するくらいでした。

 

またリーダー格のトミーは「自分がバンドを立ち上げた」と思っている為に、その傲慢ぶりや、金遣いの荒さなど、「さもありなん」と思ってしまいます。

 

特に後半お金に関してバンドを巻き込んで、解散の危機が起きるくらいの騒動を起こすのですが、「あぁ、やっぱりな」と妙に納得してしまいました。

 

トミーが作った金銭トラブルは、かつてバンドを支援してくれていたマフィアのボスが相談に乗って何とか解決策を探します。

 

その顛末は映画を観て確認してほしいと思いますが、それに対してボーカルのフランキーヴァリは、現代人ならあまり取らないであろう選択をするのです。そこに自分は彼の精神性の高さを感じました。

 

またフォー・シーズンズがバンドとして成功した要因としては、やはり唯一無二の歌声を出せるボーカルのフランキー・ヴァリが所属していることと、作曲ができるボブ・ゴーディオの存在が大きいと思います。

 

ややドライな見方をすると、バンドは良い作曲家とルックスも備わった良いボーカルが入れば成功する可能性は高いと思います。

 

日本でいえば、伝説的なロックバンドBOØWYで、布袋寅泰が作曲して、氷室京介がボーカルを担当しているみたいなものです。

 

話しがそれましたが、この映画の終盤の見せ場は二つあり、その一つはソロになったフランキー・ヴァリが、「君の瞳に恋してる」を歌う場面です。

 

この曲は日本人でもほとんどの人が知っていると思われます。自分もこの曲を主人公のフランキーが歌い始めた時、「あの有名な曲は彼が歌っていたのか!」と初めて気がつきました。

 

今までは、この曲自体は知っていても誰が歌っているか知りませんでしたし、歌詞も英語な為に意味がわかりませんでした。ただメロディのみがいいなと思ってたくらいです

 

今回、この映画で初めて歌詞が字幕で流れて、「こんなに良い歌詞だったのか」と感動しました。もうそれだけで映画としての評価が爆上がりです。ぜひ映画を観て歌詞を確認してほしいと思います。

 

もう一つの終盤の見せ場が、1990年に、ある音楽賞を受賞したフォーシーズンズが、受賞式で一旦はバラバラになった初期オリジナルメンバーの4人で歌う場面です。

 

昔の色々な不愉快なことも水に流して、邂逅する場面は感慨深いです。この場面はやはり日本の80年代後半のロックバンド「COMPLEX」を彷彿とさせます。COMPLEXは布袋寅泰と吉川晃司の二人が組んだバンドで、結成当初から意見が合わず喧嘩ばかりしてわずか2枚のアルバムを出して解散してしまいました。

 

ですが東日本大震災で、現地の人達の為に何かできないかと思った二人は、過去の事を水に流して一度だけ再結成し、チャリティーコンサートを行うのです。(この邂逅の場面も削除されてなければYouTubeで見れるかもしれないので興味のある方は確認してみてください)

 

話しを元に戻すと、借金を作ったり、リーダーとして威張っていたトミーと、ボーカルのフランキーがロックの殿堂の受賞会場で久しぶりに再会するのですが、お互いに歳を取った二人は過去の様々なことを超えて、一夜限りの復活演奏をします。

 

過ぎて行った長い年月が、グループ内で過去にあったわだかまりを溶かしているよう気がします。

 

おそらく人間は歳を重ねるごとに経験値が増えていき、若かった青年期のお互いの立場や、感情が理解できるようになり、それによって人を許せるようになるのだと思います。

 

そして、おそらく人生という長い旅は、「多様な価値観や多様な人間を理解できる認識力を獲得する為の旅」でもあるのだと思いました。

 

ちなみに、マフィアのボスをクリストファー・ウォーケンが演じているのですが、凄くいい味を出しているのです。今までクリストファーウォーケンはその冷たい風貌であまり好きになれなかったのですが、この映画で初めて好きになれました。

 

ラストのエンドクレジットの場面は、セットではなく実際の路上で撮影したそうです。

この場面で映画はミュージカル風に締めくくりますが、この場面があることによって観客は世の中いる様々な個性ある人達を肯定できるような効果を挙げています。

 

イーストウッド監督の人間を見る優しい目がよく表現されているラストだったと思います。

 

 

 

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