崖っぷち日本のユートピア社会学by大山昇悟

崖っぷちに立っている日本をどうしたらユートピア(理想郷)にできるか日々考え答えを探していくブログです

不思議な話・エピソード0〜後編

後編は19世紀のイギリスの生物学者、探検家であるアルフレッド・ウォーレスの著作「心霊と進化と」を紹介したいと思います。

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まずアルフレッド・ウォーレス自身のことについて述べてみたいと思います。

 

ルフレッド・ウォーレスについては、ダーウィンに消された男」や、ダーウィニズムという本を読むと詳しく載っていると思いますが、自分は未読な為ざっくりとウォーレス について述べるとすると…

 

ウォーレスはアマゾン川とマレー諸島を実地調査した結果、自然選択説(自然淘汰説、進化論)に至り、当時文通相手であったダーウィンに手紙で自身の考えを伝えたところ、ダーウィンも同じようなことを考えていました。

 

自然選択説は、当初ウォーレスとダーウィンの共同発見ということになっていましたが、その後紆余曲折あり、ダーウィンの名前だけが後世に残り、ウォーレスの名前は忘れられてしまいました。

 

ウォーレスはその後心霊主義に傾斜していき、自然選択説心霊主義をプラスした独自の考えを持つに至りました。

 

ウォーレスが心霊主義に傾斜していったきっかけを「心霊と進化と」の中から抜粋します。

「知人宅で起きた原因不明の小さな心霊現象がきっかけとなって生来の真理探究心が頭をもたげ、どうしても研究してみずにはいられなくなった。

 

そして、研究すればするほど現象の実在を確信すると同時に、その現象の種類も多岐にわたることもわかり、その示唆するところが近代科学の教えることや近代哲学が思索しているものからますます遠ざかっていくことを知ったのである」

 

ウォーレスはスピリチュアリズムに傾倒することによって、自らが提唱した自然選択説で築いた博物学での名声を失うことを承知の上で、研究を重ねたのでした。

 

「心霊と進化と」の著書は、その研究に対しての見解を述べた論文集です。

以下、いくつか内容を抜粋して紹介します。

 

☆フォックス家のその後と、心霊実験会の広がり

このブログの前編でも取り上げたフォックス家のその後についてですが、フォックス姉妹はその後ロチェスター市に引っ越します。

 

ところが姉妹は、(ラップ音などの霊現象について)詐欺の疑いで市当局が組織した調査委員会による尋問を受けることになりました。

 

フォックス姉妹は複数の女性によって身体検査され、枕の上に素足で立たされ、関節部分はすべて衣服の上から紐で縛られたにもかかわらず、壁と床から叩音(ラップ音)が聞かれました。

 

調査委員会は報告書で以下のように結論しています。

「調査委員会が叩音を聞いたが、その出所はついに突き止めることができなかった。現象に際して器具も詐術も使用されていないことが証明された」

 

その後、フォックス姉妹の実験会をきっかけに、姉妹以外にも心霊能力を持っている人がいることがわかり、1〜2年後には全米に心霊実験会が広がったのでした。

 

中には社会的地位が高く、心霊現象に懐疑的な人ばかりを集めたグループが20回に渡り実験を繰り返したところ、最後の2回で目を見晴らせるような心霊現象が起こり、その後4年間実験は継続され、全メンバーがスピリチュアリストになったとのことです。

 

☆エクトプラズム-霊の物質化現象

 

ドイルと同じく、ウォーレスもエクトプラズムについて報告しています。

 

ケートという女性の霊媒が、ニューヨークの銀行家リバモア氏と実験した様子を抜粋します。

「様々な現象の中心となったのはリバモア氏の亡き妻の(エクトプラズムによる)物質化現象で、肉眼に映じるだけでなく手で触ってみることもでき、喋る声もはっきり聞こえたという。

容姿は実に明瞭で、生前の容姿と寸分変わらなかったそうである。よく部屋中を歩きわまわって、置いてある家具類をその手で動かし、カードに通信文を書き記したりしている。

 

現れ方はいろいろであったが、光輝性の雲のような塊がまず現れて、それが次第に人間の容姿に変わってゆき、用事が終わると見ている目の前で一瞬のうちに消え失せたことが何度かあったという。

 

当の霊の許しを得てドレスの一部を切り取らせてもらったが、手に取って見るとガーゼのようで、いかにも普通の布で出来ているように見えても、やがて消えて無くなったという。花も物質化されたが、これもすぐに消えてしまった」

 

ドイルが報告したエクトプラズム現象と共通するところは、物質化した霊が動いたり、話したりでき、かつ霊に触ることができるということです。

 

霊媒による霊言現象

霊媒(霊能者)に霊が乗り移り、霊媒の口を通して語る現象を霊言といいます。

 

ウォーレスが報告している霊言現象で興味深い例をいくつか紹介します。

 

エドマンズ判事の娘のローラが霊言現象の霊能者で、自国語の英語の他に数カ国語を自由に喋ったということです。

 

以下、エドマンズ判事の証言

「娘はふだんは母国語以外は何も喋れず、せいぜい学校で習う片言のフランス語くらいのものであるが、いったん入神すると(高級霊霊媒の身体に入ること)9ヶ国語ないし10ヶ国語を立て続けに一時間も楽々と喋りまくることがある。

外国人が娘のローラを通じて、外国語で霊界の友人と会話を交えることは決して珍しくはない」

 

ウォーレスの霊言現象についての見解で注目すべきは、霊媒に粗暴な霊がかかる憑依現象と、高級な霊がかかる入神現象を分けていることです。

 

粗暴な霊がかかる憑依現象では、(具体例は述べられてませんが)粗暴な霊が大変なことをしかねない、とウォーレスは述べています。

 

反対に高級霊がかかる入神現象では、憑依現象とは真逆の現象が見られるということです。

例えば、無学なバーテンが入神状態になると、幾人かの哲学者と「理性と予知能力」「意志と運命」といった高等な問題を議論し合ったり、心理学上の難解な質問に対して、英知に溢れた回答をしたりといった現象が見られたとのことです。

 

また、アルファベットのボードなどを使用した霊界通信においても、粗暴な低級霊だけでなく、高級霊が通信を送ってくる場合もあるようです。以下、ウォーレスの見解です。

(高級霊が)人間の死後の生活について述べているが、私が判断する限りでは、全体としてみた場合、いかなる宗教や哲学の教義よりもはるかに崇高にして合理的かつ一貫性のある霊の世界の叙述となっている。しかも道徳性への志向を助長する点においても間違いなく優れている」

 

そして、これは自分の見解ですが、高級霊が霊能者の身体を借りて、崇高な言葉を語る霊言現象などは、聖書のヨハネ福音書におけるキリストの言葉にも当てはまるのではないかと思われます。

 

「わたしがあなたがたに言う言葉は、わたしが自分から話しているのではありません。わたしのうちにおられる父が、ご自分のわざをしておられるのです」(ヨハネ福音書より、イエスキリストの言葉)

以上の記述は、霊言現象なのではないかと推定できるのではないでしょうか。(クリスチャンからすると異論があるかもしれませんが)

 

☆19世紀中頃から20世紀初頭において広まったスピリチュアリズムの意味

 

1848年のハイズビルのフォックス家の事件をきっかけに様々な心霊現象の解明、心霊実験会が開催されていきます。それにちなんで1848年は、近代スピリチュアリズム元年と称されることになります。

 

実は1848年という年は、マルクスの「共産党宣言が刊行された年でもあります。さらにその10年後にはダーウィンの「種の起源が刊行されました。

それに伴って唯物論の台頭、キリスト教の権威の失墜、科学の専門分化と盲目的な信頼感の醸成がありました。

 

つまり、近代科学合理主義の時代が本格化するころ、それに歩調を合わせるかのようにして、スピリチュアリズムは急速に発展していったのです。

 

自分の見解ではありますが、神は霊的なことを抜きにした科学のみの発展は、唯物論を助長するだけであるとして、スピリチュアリズムを広めていったのではないかと思われるのです。

 

ところがここで陥りやすい考えは、霊的なものだけを肯定し、科学的かつ合理的な考えを否定することです。

 

実は地上における科学的な発展も神の意図するところなのです。

科学的な分野の発展も神は願っておられ、その証拠に世界の発展に貢献したニュートンエジソンアインシュタインなどは神への信仰心を持っています。

 

だいたい平均的な人はどちらかに偏りやすいのです。神秘思想と合理主義が融合しているのがこの世界の真実なのですが、片方が強くなるともう片方を否定するという流れになりやすいのです。そしてその極端な流れは大抵は神の意図ではなく、地上の人間の自由意志によるものなのです。

 

最後に、神秘思想と合理主義を融合した思想家であるゴータマ・シッダールタ(仏陀釈尊)の教えを紹介します。

 

仏陀空諦(くうたい)、仮諦(けたい)、中諦(ちゅうたい)、三諦円融を説きました。

空諦とは、この世は全てのものに神の性質が宿り、あの世とも相互に関連しあっているというものです。

 

仮諦とは、この世は物質界である為に、原因と結果の法則が合理的に働くというものです。

 

中諦、三諦円融とは、地上世界は空諦と仮諦が動かせない普遍の真理である為、その二つを偏らずに上手に融合していく生き方をし、またそのような世界を作っていきましょう、という教えです。

 

つまるところ、私の考える来るべき未来のユートピア社会の条件とは、釈尊と同じく神秘思想と合理主義を融合した社会であるというのが結論です。

 

今後は不定期に不思議な話しを記事にしていきたいと思います。

 

追記:心霊実験を数え切れないほど調べ、見聞したアルフレッド・ウォーレスの言葉「事実とは頑固なものである。どうしようもないものである」

 

 

 

 

 

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