崖っぷち日本のユートピア社会学by大山昇悟

崖っぷちに立っている日本をどうしたらユートピア(理想郷)にできるか日々考え答えを探していくブログです

映画「ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち」をお勧めします

「芸術の中に神の姿を見いだす〜映画編」

今回紹介する映画は、1998年の2月に開催された長野オリンピック、スキージャンプ団体戦での実話を元にした映画「ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち」です。

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あらすじ

【主人公はスキージャンパーの西方仁也(にしかた・じんや)。1994年のリレハンメルオリンピックスキージャンプ団体戦で“日の丸飛行隊"のメンバーとして日本代表を牽引するも、エース原田雅彦のジャンプ失敗で金メダルを逃し、長野オリンピックでの雪辱を誓い日々練習に励み、代表候補として有力視されていながら、惜しくも落選。
競技前にジャンプ台の状態を確かめるために何度もジャンプを繰り返し安全を確かめる″テストジャンパー"となり日本代表選手たちを裏方として支えた人物。

物語は、西方の金メダルへの強い想い、それを打ち砕く挫折、原田との友情、怒りと嫉妬、それでも仲間の為に、日本の為に、命の危険を顧みずテストジャンプに挑む、深い人間ドラマを映し出す。】(Amazonより抜粋)

物語は誰もが知っている長野オリンピックでのスキージャンプ団体戦での話しです。

リレハンメルオリンピックで、圧倒的な差をつけながら、原田雅彦選手の失敗ジャンプにより金メダルを逃し、銀メダルになってしまったことが、このドラマの始まりです。

ちなみにリレハンメルでは、西方選手は一番手で135メートルを飛んでいて日本ジャンプ陣にグッとメダルを引き寄せていました。

その後岡部選手、葛西選手と好調に飛距離を伸ばして、その時点で2位との差は55.2ポイント(距離に換算すると30メートル)も開いていたので、とにかく普通に飛べば金メダル間違いなしだったのです。

ですが原田選手はジャンプに失敗してしまいました。(97.5メートル)

こういう時、個人戦であれば責任は自分に帰する為にあまり問題はないと思いますが、団体戦だと部外者から見ても難しいものがあると思います。

原田選手はその後しばらくは街中を歩いていても後ろ指を刺されてるように感じたようです。

また、競技でもイップスのようになってしまったとのことです。

団体戦での失敗は私個人の問題ではすまない」と原田選手は自著「我が道」でも語っています。

そしてある意味、原田選手よりもっと苦しい思いをしていたのが団体戦で135メートルの大ジャンプを飛んだ西方選手でした。

推測ですが「あいつさえ失敗しなければ…」というやり場のない感情が湧いていたのではないかと思います。

映画では西方選手が何とかリレハンメルオリンピックの雪辱を果たそうと、怪我に見舞われながらも長野オリンピックの代表入りを目指します。

ですが結局は選考に漏れてしまい、失意のなかテストジャンパーを依頼されます。

テストジャンパーとは、大会本番で出場する選手がスムーズに滑って飛べるように、事前に何回もテストジャンパーが飛んでジャンプ台をならすような役割です。

ただこの役目を依頼されるということは、「現役としては無理だ」と勧告されたと西方選手は捉えてしまい葛藤するのですが、色々と考えた末にテストジャンパーを引き受けます。

映画では25人のテストジャンパーとして、難聴を抱えている人や、オリンピックに出たい女子高生や、イップスを抱えている選手などが登場しますが、この映画の良いところはそのような様々な事情を抱えているジャンパーを、長野オリンピックの本番のジャンプでしっかりとストーリーに絡ませて描いている点です。

映画の中で西方選手は、他のテストジャンパー達と交流し、それぞれのテストジャンパーという仕事に込めている思いを知ります。

特に難聴を抱えている人がジャンプをする理由を知ったり、父親の反対を押し切ってジャンプ競技に取り組む女子高生との交流を通して、西方選手は少しずつ自分の心を変化させていきます。

普通のオリジナルの映画ならすぐに主人公が改心?して明るい自分を取り戻したりするのですが、そこは現実をベースにしてある映画なのでそんな簡単に主人公は成仏しません。

まさしくその部分がこの映画の評価すべきポイントです。西方選手は簡単にリレハンメルでの複雑な感情を簡単には解消できません。

劇中、西方選手は原田選手に対して、また自分が長野オリンピックに出れないことに対して、怒りや嫉妬などの感情で、心が何度も何度も揺れるところがリアルな人間を正直に描いていると思いました。

 

そして、スキージャンプ団体戦の本番、1回目が終わり、2回目のジャンプは雪の為一時中断してしまいます。

当時、自分もテレビの前でリアルタイムで観ていましたが、記憶ではテレビの中でアナウンサーが、「どうしても2回目のジャンプをやらなければならない訳ではない。1回目のジャンプで順位を確定してもよい規定になっているので、果たして…」と、言っていたような気がします。

2回目のジャンプを行うかどうかは、25人のテストジャンパーが飛んでみて、しっかり飛べるかどうかで判断されることになったのです。

実話に基づいている以上、結末もわかっているのですが、それでもラストは感動しました。 

西方選手、原田選手に限らずみんな何かしらの「苦い過去」や自分が背負っている問題や課題に落とし前をつけたいと思っています。

でも何によって落とし前がつけられるのかがわからなくて人は苦しむのかなと思います。

長野オリンピックという舞台で、テストジャンパーを務めた西方仁也をはじめとした25人。

団体戦の代表に選ばれた原田選手と3人の選手。

それぞれがひたむきに自分の課題を抱えつつ、原田選手は自分がかつて迷惑をかけた「西方選手、葛西選手」の為に飛び、テストジャンパー達は、4人の代表選手の為に飛びます。

その姿に、長くて苦しい人生という旅の中で、キラリと光る美しさを見出せるような映画です。

映画を見終わった後は、西方選手とテストジャンパー達にも金メダルをかけてあげたくなるでしょう。

ちなみに、↓下記の動画で映画公開前の宣伝の為に、西方選手と原田選手の対談が観られます。この動画の中で現在の西方選手の爽やかな笑顔を見て、自分は本当に安心し嬉しくなりました。正直映画と同じく少し泣けます。映画鑑賞後にセットで観ることをオススメします。

ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~ 23年越しの長野五輪舞台裏の真実 / 感動の実話&舞台裏の俳優たちSP - YouTube

 

 

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